ここまで「悩み」について2つの記事を書きました。
今回の記事は、その続きです♪
目次
前の2つを振りかえる…
「悩み」についての第3稿です。
これまでの2つの記事ですが、最初の記事では、「悩み」に対する向き合い方を変えようというお話をしました。つまり、「悩み」は悪モノじゃないということです。
そうやって「悩み」に向かうと、「悩み」からのメッセージが受け取れるという話でしたね。
これは、誰かが証明した理論ではなく、仮説ですから、信じる信じないは、自由です。でも、世の中に「悩み」は尽きない、尽きていないという事実は受けとめてくださいね。
人が生きている限り「悩み」な無くならないのです。
そして、2つ目の記事では、「悩み」だけじゃなく、「悩み」にともなうストレスやネガティブな感情も悪モノじゃないということでしたね。
「悩み」もストレスも、そしてネガティブ感情も、あなたを導くシグナルなのです。
「悩み」があるから、ストレスがあるから、ネガティブ感情があるから、あなたのなかに目の前の問題を解決しようという動機が生まれるのです。
そして、仮説(B)を掲げました。これです。
- 「悩み」は悪モノどころか、私たちにタイムリーに必要なメッセージをくれる素敵な存在。「悩み」を毛嫌いすることなく向かい合うことで、「悩み」が持つメッセージを受け取ることができる。(B)
これ仮説ですけど、都市伝説じゃないです。
なぜなら、このような仮説で「悩み」と向き合うといろんな点で都合がいいからです。
つまり、上手くいく。都合がいい理屈は、どこか上手くいっているわけです。
一方、上手くいかなければ、理屈を修正したり、変えたりすればいいだけの話です。
このあたりのこと、興味を持ちましたら、今後、別稿で紹介する予定の『99.9%は仮説』をお読みくださいね。
「悩み」の原因となる「思い込み」も悪モノじゃない
「悩み」の原因となるのは「思い込み」です。その理由をこれから説明します。
「悩み」の状態って、「あーでもない、こーでもない」と思い惑う状態です。
何に対して、「あーでもない、こーでもない」と思うのか?
「○○になるはずだ」「○○になるべきだ」「○○なりたい」というあなたの考え、これを「思い込み」といいますが、「思い込み」通りにならないから思い惑うのです。
考えてもみてください。
何もかも自分の「思い込み」通りなっていれば、「あーでもない、こーでもない」と思い惑う、思い煩う余地もないわけです。
「思い込み」=「思い通り」と言ってもいいです。
「思い通り」というとき、多少の(イヤイヤ、かなりの)願望も入っています。
ところで「思い込み」とは、アドラーが言うところの「主観」です。
それでは事例で考えてみましょう。
A君は、「私は幸せになるために、お金持ちになりたい、なる、なるべきだ」という「思い込み」に対して、現実は全くそれとはほど遠い状態です。
それでも、宝くじの一等賞でも当たれば、一時的に「幸せ」はゲットできるのですが、そんな現実は、万に一つも起こらない。
で、お金持ちになるどころか、「お金に困らない生活」は一向に訪れない。来てくれない。どうしていいかわからない。
だから「あーでもない、こーでもない」、そして「いやになっちゃうな、ちっとも金持ちにならないじゃん」と「悩み」を抱え続けるわけです。
だったら、節約生活をして、もっと働けよといいたいところですが、そんな修正行動をする素振りもありません。
少しわざとらしさが匂う事例でしたが、A君は「こうなりたいという思い」と現実のギャップに「悩み」、「あーでもない、こーでもない」とグダグダ考えていたのです。
つまり、「思い込み」が「悩み」の原因になっていたのです。
またまた、アドラー博士に登場してもらいましょう。
- すべての人間は主観のなかで生きている
- 自分の見方を変えれば世界が変わる
- 見方を変えればその瞬間から生まれ変わることができる
- 世界は驚くほどにシンプル
- だけど、人は自らが意味づけした見方や考え方で物事を勝手に複雑にしてしまう
勝手に複雑にしちゃって「あーでもない、こーでもない」と言う状態になるのが「悩み」です。
そして、そうなる原因が主観、つまり「思い込み」です。
やっぱり、「思い込み」は悪モノじゃね!?
さて、ここまでで「悩み」は「思い込み」が原因だということを書いたのですが、それを目にしたあなたは、きっと
- 「思い込み」こそ悪モノだ
と烙印を押してしまったでしょうか。
実は、「思い込み」も悪モノではないのです。
今少し、「思い込み」について考えてみましょう。
「思い込み」とは、便利なもので、それを普段信じ切ることで、いちいちいろんなことを考えることが省略できるのです。
例えば…
- 心からの笑顔が出来る人に悪い人はいない
という「思い込み」を持っている人は、その「思い込み」を無意識に活用することで、笑顔を見極めるだけで、いちいちその人を判断するムダを省けるのです。
いくらなんでも、そんなお子様レベルじゃ欺されるでしょと思うでしょうか。そうなんです、詐欺師のような者には、簡単に欺されてしまいます。
そのときは、「思い込み」が悪かったのではなく、「思い込み」が詐欺師には通用しなかったというだけの話です。
きっと通用した人もいたというケースもあったわけで…。
また、仮に私が「所詮、人は信じられるモノではない」という「思い込み」を持っていたとしましょう。
人と交わることで散々痛い目にあってきた私は、この「思い込み」を無意識に実行することで、再び痛い目に遭うことを無事避けることができるのです。
(ホントの私はそうじゃないですけど…笑)
だけど、生涯の伴侶かもと思える素晴らしい女性が現れたとしましょう。
しかし、無意識に、この「思い込み」が頭をもたげて、付き合うきっかけすら失ってしまいます。
こんな場合でも、この「思い込み」がダメなわけではないのです。修正すればいいだけの話です。
もちろん、この伴侶を失った経験を元に、この「思い込み」を修正ではなく捨ててしまおう、新しい「思い込み」に入れ替えちゃうと思えば、そうすればいいだけの話です。
いずれにしても、私たちは普段、数え切れない、つまり意識できないほどたくさんの「思い込み」(アドラーの言う主観)を持ち、それを無意識に実行していくことで、スムーズな生活を営んでいるのです。
良い「思い込み」と悪い「思い込み」!?
ところで、なぜこのサイトでは「思い込み」などという一見、ネガティブっぽい文言・表現をそのまま使っているのか。
フツー、サイトの記事などには「信念」や「ビリーフ」という、格好の良い言葉を使います。
で、「良い信念(良いビリーフ)と悪い信念(悪いビリーフ)があります」って展開するんです。
100歩譲って、ポジティブな信念とネガティブな信念みたいな…。
でも、それっておかしいんです。
信念(あるいはビリーフ)に良いも悪いもないんです。上手く機能するときと、上手く機能しないときがあるだけです。
そして信念(ビリーフ)はすべて「思い込み」なんです。
さらにいうと、私のまわり、あなたのまわり〜正確に書くと私の頭の中とあなたの頭のなか〜は、「思い込み」だらけなんです。
ですから本来的なわかりやすい意味を込めて「思い込み」を使っています。
さて、一見、同じようなジャンル・対象に対する同じような「思い込み」であっても、私の「思い込み」とあなたの「思い込み」が同じだと限りません。
いえいえ、きっと大きく違う「思い込み」なのです。
おそらく、全く同じ「思い込み」はないでしょう。人の数だけ「思い込み」の中身が違うのです。
そして、同じ人の同じようなジャンル・対象であっても、10年前の「思い込み」と今の「思い込み」は違うのです。
つまり、ホント、その人のその時点の「思う考え」だから「思い込み」です。
繰り返しますが、私の「思い込み」が正しく、あなたの「思い込み」が間違っているという話ではないのです。
「思い込み」に対する4つの理解
以上、今回はダラダラと書いてしまいましたが、「思い込み」に関しては、たった4つの理解が必要だというお話でした。
- 「悩み」の原因は「思い込み」
- 「思い込み」にイイも悪いもない
- 「思い込み」は上手く機能するときもあれば、上手く機能しないときもあるだけ
- 上手く機能しているときはそのままでOK、上手く機能しなければ修正したり破棄(入れ替え)したりする。
「悩み」は「思い込み」に修正が必要だというシグナル!
「悩み」は「思い込み」に修正や入替が必要ですよというシグナルです。それが「悩み」のメッセージです。
それでは、「思い込み」が悪く働く場合、そして良く働く場合のケースをごらんいただきます。
修正や入替の必要性を感じてくださいね。
「不可能を可能にした」ロジャー・バニスターという男の話
陸上で「1マイル走」があります。およそ1.6kmをいかに速く走るかのレース。
かつて、「1マイル走」には「1マイル4分の壁」がありました。
1923年にフィンランドの選手が1マイル4分10秒3の大記録を打ち立てました。
たった2秒ですが、それまでの世界記録を塗り替える記録だったのです。
この選手が2秒更新で世界記録を塗り替えるまでには37年間もの月日があったからです。
そんなこともあって、いつのまにか世界中のトップランナーたちの間には、
- 1マイル4分は人類が決して超えられない壁だ〜思い込み(A)
だから、たった2秒更新するのに37年もかかったのです。
さて、1950年代に入ると、オックスフォード大の医学生であったロジャー・バニスターが
- 科学的に分析して取り組めば「1マイル4分の壁」は越えられる〜思い込み(B)
「人類が決して超えられない壁」=「思い込み(A)」が壊れた瞬間です。
そして、面白いのはここからです。
バニスターが大記録を打ち立てた、たったの46日後に、バニスターの記録をさらに上回る記録が出たのです。
結局、バニスターの記録を起点に、その後の1年間になんと23人が「1マイル4分の壁」を超えてしまいました。
結果からみると「思い込み(A)」は、無駄な挑戦をしない・させないという点では、うまく機能していたかもしれません。
しかし、世界レベルで「心の壁」をつくってしまったという点では、うまく機能していなかったのです。
ただ、当時としては、バニスター以外は、「思い込み(A)」が「心の壁に過ぎない」という思いに至れなかったということです。
一方、バニスターの「思い込み(B)」は、うまく機能したのです。
結果として、世界の選手を呪縛していた「思い込み(A)」の呪い(!)がバニスターには解けたということです。
この話、「思い込み」の作用を認識するには、わかりやすいのではないでしょうか。
「悩み」でうまくいかなかったら、その原因である「思い込み」の修正や入替を考えてみる。バニスターのようにです。
「悩み」はそういうシグナル、メッセージを発しているのです。
ガリレオの望遠鏡
もう1つ事例を…。
ガリレオは望遠鏡をつくりました。発明したのではなく、遠い他国の誰かが望遠鏡をつくったという伝聞から、自ら作り上げたのです。
そして、当時の天文学者たちの前で、その望遠鏡を披露しました。望遠鏡は、遠くの建物や山々などが、嘘のように近く見えました。参列していた人々は驚き、そして、ガリレオを賞賛しました。
次に、ガリレオは本来の目的である、月を望遠鏡でみんなに見せました。
ガリレオとしてみれば、科学者として純粋に当時の常識(=「思い込み」)を覆したかったのかもしれません。天文学者たちも、自らの目で見ればそれを信じるだろうと。
当時の天文学では、天上は神聖なる域であって完全だと考えられていました。完全だから、月も完全なる球体であると考えられていたのです。そうでなければダメだったのです(旧来の思い込み)。
ガリレオの思惑では、凸凹のある月を見れば、天文学者たちも旧来の常識を変えるだろうと考えたのです。
しかし、月を望遠鏡で見た天文学者たちの顔色が変わりました。そこに月の凸凹が見てとれたからです。そして、彼ら天文学者がとった判断はこういうものです。
天上は神聖な域であるということは変わることのない真実。だから、地上を見たときには、望遠鏡は適切に「モノを大きく見せる」が、望遠鏡を一端、天上に向けたとたん、望遠鏡は「嘘を見せるモノにものに変わってしまう」と決めつけたのです。
ロジャー・バニスターが破った「思い込み」よりも、ガリレオがいた当時の人々が考えていた「思い込み」は、より強固だったという話ですね。
もしかしたら、私たちのなかにも、事実とは違うという点で上手く機能しないことが明白なのにもかかわらず、この例のように強固な「思い込み」が存在しているのかもしれません。
その可能性を知らしめてくれる点で、この「ガリレオの望遠鏡」は面白い話です。
まとめ
少し長くなりすぎましたので、ここで一端、「悩み」解決の大枠をまとめましょう。
- 人は「思い込み」がないと生きていけない。
- だけど、「思い込み」が上手く機能しないときがある。
- そんなとき「悩み」がストレスやネガティブな感情で、「思い込み」を修正しろ、入れ替えろと教えてくれる。
- 「思い込み」がうまく機能しないことが「悩み」の原因だからだ。
- だから、「悩み」に気づいたら、そして、それを解決すべきだと思ったら、まず、「悩み」の原因となっている「思い込み」を明らかにする。
- そして、必要に応じて「思い込み」を修正したり、または、破棄して新しい「思い込み」に入れ替えたりする。
- そうやった上で、同じチャレンジをもう一度やってみる。
- 上手くいけばOK、上手くいかなければ、もう一度「思い込み」から、やり直してみるだけ。
アドラー博士も言っていましたよ。
- シンプルに考えてくださいね、シンプルに。
次はいよいよ「悩み」の対処についてです♪
追記
この記事はサイト管理人「たもつ」が所有する他のサイトにて「クロスケ」名でアップしていた記事を一部リライトしてここに掲載しました。
つまり記事移動したのですが、理由は前述の「他のサイト」を個人的な理由で今月中を目処に閉鎖する予定だからです。
元記事のほうは、記事移動に伴い削除しました。
※アイキャッチ画像の出典:ぱくたそ
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